2019年から固定種の種採りを始めて、今年で8年目になる。最初は「節約になるかな」くらいの気持ちだったが、続けているうちに別の理由が生まれてきた。自分の畑の土と気候に少しずつ合った系統が育ってくる感覚は、数字では測れないが確かにある。

固定種とF1品種の違い

固定種は、親と同じ性質を持つ種が採れる品種のこと。F1品種(一代交配種)は収量や形が均一になるよう交配されていて、その種を採っても翌年は同じものが育たない。スーパーで売っている野菜のほとんどはF1品種から作られている。固定種は形が不揃いになりやすいが、種を自分で採って繋いでいける。

バジルの系統選別、2019年から

最初に種採りを始めたのはバジルだった。種苗会社から固定種のバジルの種を取り寄せて、その中から香りが強く、葉が大きいものを選んで種を採った。それを翌年に蒔いて、また選別する。これを繰り返して8年目になる。市販の種と比べると、香りが強くなってきた気がしている。まだ確かめている途中だが、朝市で「このバジル香りが違う」と言ってくれる人が増えてきた。

種の保存方法

採った種は、乾燥させてから紙封筒に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存している。密閉容器に乾燥剤を入れる方法もあるが、紙封筒のほうが湿度の調整がしやすい気がしている。発芽率は毎年少し試し蒔きをして確認する。3年以上経った種は発芽率が落ちるので、毎年採り直すことにしている。

種採りを続ける本当の理由

節約になるかどうかは、正直よくわからない。種代より手間のほうが大きいかもしれない。でも、自分の畑で育った植物から種を採って、翌年また同じ畑で育てるという循環は、農業の根本的な部分に触れている気がする。福岡正信の『わら一本の革命』を読んでから、この感覚が言語化できるようになった。

種採りに興味がある方は、農場見学のときに実物を見てもらえる。予約はメールか電話で。農場のはじまりについてはこちらにも書いている。