「あそこは難しい土地だ」と言われた低地の畑を引き継いで9年が経つ。最初の夏はトマトもナスも根腐れで全滅した。でも今は、その湿った土がレタスとハーブにとって理想的な環境になっている。どうやってそこに辿り着いたか、できるだけ具体的に書いておく。

低地の土が抱える問題

低地の畑は、雨が降ると水が溜まりやすい。根が常に湿った状態になると、多くの野菜は根腐れを起こす。特にナス科(トマト、ナス、ピーマン)は水はけの悪い土を嫌う。最初の夏に全滅したのはそのためだった。土を盛り上げて畝を高くする方法もあるが、低地全体の水位が高いと根本的な解決にはならない。

排水路の整備に2年かけた

2018年から2019年にかけて、畑の周囲に排水路を掘り直した。深さ40cm、幅30cmの素掘りの溝を、畑の四方に張り巡らせた。業者に頼まず、スコップで少しずつ掘ったので2年かかった。これで大雨のあとも24時間以内に水が引くようになった。完全に乾燥させるのではなく、「適度に湿っている」状態を保つのが目標だった。

水分を好む作物に切り替える

排水路の整備と並行して、作物の選択を変えた。レタス類(バターレタス、ロメインレタス、リーフレタス)、クレソン、ミント、ルッコラは、適度な湿気を好む。特にクレソンは排水路沿いの半水耕状態でよく育つ。湿地の弱点を強みに変えるには、土に合わせた作物を選ぶことが一番の近道だった。

今の栽培状況

現在は20種類ほどの野菜とハーブを少量多品種で育てている。夏はズッキーニとトウモロコシも加わるが、主力はレタス類とハーブのまま。農薬は使わず、堆肥は農場内の草刈りカスと野菜くずから自家製している。土の状態は毎年少しずつ変わっていて、今年は春の雨が少なかったせいか、例年より土が締まっている感じがする。

低地の農業は、最初から諦めるか、土に合わせるかの二択だと思っている。合わせることを選んで、今は後悔していない。農場のはじまりについてはこちらにも書いている。